パン工房ふらんす 住居 兼 工房&店舗

最終更新: 2月16日

あるギャラリーで、森のお話し会をしたときのことです。

話し終わったずーやんに、声をかけてきた女性がいました。

「森と踊るの木を使って、パン工房と店舗を兼ねた家を建てることはできますか?」

それから3年。

その女性の家は、森と踊るが初めて手掛けた戸建ての家になりました。

今日は、その家主である渡辺あきよさんにお話を伺いました。


森と踊るとの出会い

ずーやんに家の話をしたのは、私が展示をお手伝いしていたギャラリーのお話会でしたが、最初に会ったのは、森で、森と踊るのイベントに参加したときでした。

 

そのときに初めてずーやんの話を聴いて、500年後の森をイメージする体験をしました。

「この人は500年後の森を見据えて仕事にしている。今やっていることの結果を自分では見届けられないことをコツコツと仕事としてやっているのはすごいな、そういう森で育った木ってすごいな」

とその時は思ったのを覚えています。



森と踊るに仕事を依頼しようと思った理由

元々住んでいた自宅兼工房&店舗の老朽化が進んでいて、建て替えについては何年も前から色んな方に相談はしていました。でも、うちは調整区域で家の建て替えが難しいことを理由に何人もの方に断られていました。お店をたたむことすら考え始めていました。

 

そんなときに、何気なく話をしたずーやんが、ただ一人、あっさりと「できると思いますよ」と言ってくれたんです。

 

いとも簡単に言われたので、その話を家族にしたら、「そんな人がいるのなら会ってみたい」ということになり、そこから、森と踊るの材を使って家の建て替えをする流れになりました。


直面した困難。そして、本気の選択

家を建て替えるにあたって、大変だったのはやはり資金と工期の問題でした。

 

率直に言って、森と踊るの材は市場の相場よりも割高です。

設計士さんからは、もっと安い材を使うという選択肢の提示もありました。

 

その時になって、本気で、

「自分たちは何のためにお店を建て替えたかったんだろう? お店を閉めるのではなく立て替えを選択したのはなぜなんだっけ?」

と家族で話し合いました。

 

私たちは、なぜ、森と踊るにお願いをしようと思ったのか。

 

森と踊るの材が相場よりも高いのは、そこに人件費や手間賃等、森と踊るがそれで食べていくのに必要なお金が真っ当に乗っかっているからだということは分かっていました。

そして、私たちの店、パン工房ふらんすは、細々とだけれど、「農業に関わっている人たちが真っ当に食べていけるようなパン作り」をコンセプトとして掲げてこれまでやってきました。

そういうものを作って売っているのに、建物は自分たちのコンセプトに背くものでいいのか?

 

「知らなかったら素通りできたかもしれないけれど、私たちは既に知っている。

それなのにコストのために安い材に走ることは、自分たちがやろうとしているお店のコンセプトから考えてもできない。本当はどういう店を作りたかったのか、何を発信していきたかったのか、ということを考えたら、ずーやんのところにお願いしないと意味がない!」

 

家族全員でとことん話をして、そういう結論に達しました。

 

そうは言っても予算は限られていたので、実は、途中で資金が足りなくなって、工期を延ばしてクラウドファンディングをしたりもしました。

決して楽な選択ではなかったです。

でも、今回の体験は、ぼんやりあったものを、きちんと、何を選択するのか、と考えるきっかけになりました。

限られたお金であっても、何を選んで選ばないかを選択すればできます。

うちの住居にはトイレのドアがありません。

2階の床はそのまま1階の天井板です。

でも、それでもいい!と思ったんです。

色々な人の価値観はあると思いますが、私たちは何よりも、広くはないけれど、居心地がいい、気持ちがいい、という空間を選択しました。

そして、その選択は間違っていなかったと今は思います。

 

トイレのドアはないけれど(笑)、でも、住んでいて、日々、木が違うとこんなに違うんだな、と満足に思うんです。

出会いってすごいですね。


森と踊るの材を使った家に実際に暮らしてみて

私たちが居心地がいいのはもちろんなのですが、一番びっくりしたのは、パンの酵母菌が最初からとても元気だったことです。


パンの酵母菌はとても繊細で、新しいところにとても弱いので、通常は移動や引っ越し等をすると元気になるのにとても時間がかかります。季節の変わり目にダレっとなってしまうこともしばしば。そういうときにはパンの出来上がりもイマイチで、失敗して試行錯誤することも多く、苦労していました。

 

でも、この家ではパンの酵母菌が最初から元気で、季節の変わり目でも問題もなく、ここで作り始めて以来、そんな苦労がまだありません。

お客様からも、以前よりもおいしくなったという声をいただいていますが、道具も作り方も変えていないので、変わったのは空間と酵母菌の元気だけなんです。

人間の心地よさは主観的なものですが、酵母菌の違いは目に見えて分かるので、ここが気持ちいいことの説得力を感じています。

それから、お客様も気持ちが良いと言ってくださいます。

入口の柱はみんなが触りたがるので、既に風合いが出てきました。



1階の天井兼2階の床は、音がとてもよく聞こえるという欠点はありますが、その代わり1階の工房の熱を2階にも伝えてくれるので、真冬以外は2階では裸足でいられるのも気持ちが良くて気に入っています。









最後に

森と踊るから紹介してもらった設計士さん、大工さん、全てがいい人で、こんなに素敵な空間を作ってもらって、すごくありがたかったです。

森と踊るに仕事を依頼したことは、木だけではなく人とのつながりという面でも良かったと思っています。

店舗オープン記念のイベントの際には、木版画 Nao工房のおさのなおこさんがお祝いの品を届けてくださいました。

それから、この家に住み始めてから、建築関係の仕事の人が気になって寄ってみた、引き返してきた、という人が結構いるんですよ。

通りすがりの一瞬でも目に留まるんですね。


こんなにいい木を使っている家なんてなかなかないとおっしゃって、写真を撮っていく方も多くいらっしゃいます。

 

森と踊るの材は確かに安くないけれど、どんな木でもある程度の値段はします。

そういう大きな買い物のときに、本当に自分が納得して、そういう仕事をしている人、お金の流れに対して、よし、と思って購入できれば、大好きなものになるはずです。



建物の内装・外装共に、時期やチャンスに恵まれないとなかなか縁がないものです。 その予定もないのにただ柱を3本買っても、使い道はありません。

でも、そういうチャンスがあなたに巡ってきたら、ぜひ逃さず、森と踊るの話を聴いてみてほしいと思います。

話を聴く機会があったら、次回は違う選択ができるのではないでしょうか。

 

既に知っている人もいるでしょうし、知っていることとやることは階段が一段も二段も違うことなので、簡単ではないでしょう。

だけど、ずっとずっとそこに住んで、目にするものなので、そこからもらう幸せは違うはずです。

同じものでも、誰がそれをやるのかは随分違ってきます。 知らない誰かが製材してやっていることと、知っている人がやっていることは違ってくるはずです。

限りあるお金だからこそ、自分で本当に必要なものを選択することが大切だと私は思います。


私たちは、悩んだけれど、これでよかった!というものに出会えました。


これから事あるごとに、家族で、よかったね、と言って過ごせるのは幸せなことだと、日々感じています。

再オープンイベントにて、あきよさんと弟の剛弘さんと共に。

【店舗情報】

パン工房ふらんす

住所: 神奈川県大和市上和田1066-7

TEL・FAX: 046-267-4604

facebook: https://www.facebook.com/pankouboufrance/


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